ロジスティクス革命を推し進める、米国LogiTech企業群

FinTechが世間を賑わす中、これから大きく社会へのインパクトをもたらすロジスティックス・テクノロジー、通称「LogiTech」の可能性も見逃してはならない。今回は、Google Venturesやセコイヤキャピタルなど、目利き力の高いベンチャーキャピタルも注目するスタートアップやUberが2015年10月に公開した物流APIの可能性を理解すべく、米国のLogiTech事情及び企業群をご紹介したい。

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リアルの世界にも「ストリーミング」をもたらすLogiTech

リアルの世界にも「ストリーミング」をもたらすLogiTech

映画や音楽のストリーミングが普及した事によって、好きな時に好きなものにアクセスする、という行為は日常化した。しかし、それらの多くは元々デジタルのものであり、インターネットとの相性が極めて良かったものが大半。一方、リアルにおける物理的な「モノ」の大半はまだ「ストリーミング」といえるようなアクセシビリティが確保されていない。デジタル時代において、人・モノ・場所の関係性は大きくシフトしている中で、リアルの世界がデジタルの世界に追いついていない状況とも言える。

それらの状況を一変させるのが「LogiTech」だ。

LogiTechはリアルにおける人・モノ・場所をインターネットのように簡単に繋ぎ、いつでもどこでもアクセスできるようにする。音楽ストリーミングサービスで音楽を楽しむように、モノのストリーミング化を実現する。その根底には、高度な物流技術が潜み、これらはデジタル時代を次のフェーズへと進化させる要のテクノロジーになる事は間違いない。

そんなLogiTechにまつわる環境をより理解するために、今回はGoogle Venturesやセコイヤキャピタルなど、目利き力の高いベンチャーキャピタルから期待を寄せる米国のLogiTechスタートアップ群をご紹介したい。サービス内容によって、1) 自社サービス系と、2) API提供系と大きく2つに分類できるこれらのスタートアップを順に見ていきたい。

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米国LogiTech企業 – 自社サービス系 スタートアップ

米国LogiTech企業 – 自社サービス系 スタートアップ

米国のストレージビジネスは、2012年の2.6兆円から2016年の段階で3.6兆円に到達すると予測されている。そんな中、まず見ていきたいのは、自らが人々のモノを預かり、それらの品物を一品ずつ撮影し、ユーザーがクラウド上でそれらを管理できるようにする自社サービス系。LogiTechのベースとなる倉庫技術が根幹になければ、それらを活用したいサービスは立ち上がらないという意味で、最も基本であり、コアなプレーヤーである。

次世代のストレージビジネスの担い手として期待を集めるのが、ニューヨークを拠点に2013年の創業から現在まで2,760万ドルの資金調達に成功しているMakeSpace。米国では小型倉庫レンタルをセルフストレージと呼ぶが、ユーザーはiPhoneアプリからオーダーすればMakeSpaceがユーザーの代わりに即日引き取りを行い、全ての品物の写真を撮影してくれるのでアプリ上での管理が実現する。

2015年10月にセコイヤキャピタルによるシリーズA(900万ドル)に続き、2016年4月にはシリーズB(2,000万ドル)の投資も受けているClutterは、倉庫を管理する独自のソフトウェア技術を用いて、旧来型の倉庫会社が保有する倉庫マネジメントシステムとの差別化を図っている。

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米国LogiTech企業 – APIプロバイダー系

米国LogiTech企業 – APIプロバイダー系

自らがセルフストレージサービスを提供する自社サービス系に対して、LogiTechソフトウェアをAPIという形で多様なプレーヤーに提供する立場に徹する、APIプロバイダー系が存在する。

この領域で注目すべきはやはりUberが2015年10月より本格展開を開始したUberRUSHだ。UberRUSHは、企業が「即日配達」をユーザーに提供できるよう、Uberが創業以来、築き上げてきた物流ネットワーク、ノウハウ、ソフトウェアを組み込んだAPIである。
ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど、提供エリアによって自転車や車などの手段が変わるが、Google、Nordstrom, T-Mobile, SAPなどの大手とも提携する一方、地元の小売業やレストランなどの多くがこのAPIを活用している。

即日配達及びオンデマンド配達市場は急激に成長しており、米国だけで870億ドルもの規模を誇る。現在、500億ドル以上の企業価値をつけたUberはタクシー配車アプリとしての認知は高いが、そのコアコンピテンスを支えるのは「物流ネットワークの構築力」である。
ここにきて、よりダイレクトに物流機能としてのポジション強化を図っているUberが持つビジネスインパクトはまだ始まったばかりと言える。Uberはイギリスの70億ポンドの配達市場にも目を光らせており、

APIプロバイダーはUber以外にも、Boxbeeなどのスタートアップも挑戦しているドメインでもある。Boxbeeも創業当初は自社サービス系の事業モデルを展開していたが、2016年にピボットし、自社が作り上げたロジスティックスマネジメント・ソフトウェアを広く、多様な事業者に提供するポジションを取った。現在、ベータ版ではあるが、今後の提携戦略などに期待を寄せたい。

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米国LogiTech企業 - API応用系

米国LogiTech企業 - API応用系

自社サービス系、APIプロバイダー系に続き、最後にご紹介したいのは、LogiTech APIを応用し、自らが得意とする領域において新たな付加価値を創出しているAPI応用系企業である。

上述したUberRUSHを活用する企業例を中心に見ると、15,000以上ものレストランのフードをオンラインでオーダーでき、配送してくれるレストラン・プラットフォームのEatStreetやOloをはじめ、ShopifyといったECプラットフォームのバックエンドシステムもUberRUSH APIと連携している。

自分の周辺にあるショップが置いている商品をオンラインでオーダーできるCurbsideもLogiTech APIを活用している企業例。地元に根ざしたレストランや小売業としては、UberRUSHを活用する事で、配達までの時間を短縮すると同時に経費削減に繋がるため、メリットは大きい。またリーチできる顧客層も広がり、売上増も期待できる。ロジスティックスをマネジメントする事ができれば、恩恵を受けるのは間違いなくローカルエリアであり、ここに従来には無いビジネスモデルを構築するヒントが隠されている。

また近年、熱視線が送られる、チャットだけで欲しい商品をオーダーできるチャットベース・コマースを提供するスタートアップOperatorなども注目だ。Uberの共同創業メンバーであったロビン・チャンがCEOである事も話題になったOperatorは、UberRUSHを応用して「リクエスト・ネットワークの構築」を目指している。人・モノ・ビジネスを連携させる事であらゆる付加価値が生まれるネットワーク時代。特にチャット機能はAIと連動した急速な発展性を秘めており、社会の自動化を加速させる起爆剤として、ますます目が離せない。

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ネットワーク時代におけるビジネス機会

ネットワーク時代におけるビジネス機会

21世紀はネットワークの時代。
社会にあるモノ・サービス・知恵・人・ビジネスなどの資産にどのようにアクセスし、それらのネットワークを軸にどのような付加価値を創出していくか。IoTなどの文脈では、デジタルと繋がる対象として、エレクトロニクス機器のような商品が中心に語られがちであるが、服や家具といったアナログなものまでもがデジタル商品のように自由自在に動かす事ができれば、その経済インパクトは計り知れない。

言い換えれば、インターネットの世界で起きていたスケーラビリティ、ネットワーク、ダイナミズムがLogiTechにより、ようやく本格的にリアルの世界に進出していくのだ。
日本のEC化率が約10%未満である事からもわかるように、世の中の大半は未だにリアルなもので占められている。これらがまるで、冬眠から目が覚めたかのように活性化した時、今まで十分に恩恵を受けきれていなかった事業者が恩恵を受け、人々は想像もしなかったようなライフスタイルを手に入れる。人やモノの流動性が高まる社会において、これから「価値の軸足」はどこに移るのか?それを追求した先に新たなビジネスチャンスが無数に潜んでいる。

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