260兆円規模のAPIエコノミーに遅れる企業とは

FinTechの勃興は、ユーザー目線を持った各種スタートアップと金融業界がAPIを利活用したことによるものといえよう。各社の得意な技術をAPIという形で交換し合う経済圏(APIエコノミー)の発達が、新しい金融サービスを生み出した。拡大中のAPIエコノミーに着目するIBMから、シニアアーキテクトの早川氏を招き、APIエコノミーおよびMINIKURAのAPIについて訊ねた。

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260兆円

260兆円

「IBMの米国本社では、APIエコノミーの市場規模を2018年には260兆円へ達すると算出しています。世界の医薬品市場が約100兆円なので、そのインパクトはご理解いただけるかと存じます。APIは人を介さずにオペレーションをつなぎサービスをつくる技術なので、この260兆円という巨大市場は、いかに社会のサービスがデジタル化しているかを物語っています。

ただし、APIは目新しい技術ではありません。製造業や流通業であれば、数十年も前からアクセス時の規約を決めてパートナー企業とデータのやり取りをするEDI(Electronic Data Interchangeの略称;2社間で共有・送受信された電子データ)が存在し、社内と社外をつなぐ窓口の役割を担っていました。言わば、閉じられたAPIエコノミーでした。

現在のAPIエコノミーの新しいところは、標準的なものにすることにより、規約を固有のパートナーのためでなく世界中のスタートアップがアクセスできる点(1対1から1対NへとAPIエコノミーは開かれる)です。もしかすると、会ったこともない優秀なエンジニアがそのAPIを勝手に使って、面白いサービスを作ってしまう可能性さえあります。
だから、様々な企業が得意なサービスをAPI公開することは、斬新なサービスが生まれ易い社会に変えることにもつながるのです。260兆円規模というのは、社内のノウハウと社外の先端技術の化学反応を評価しての結果でもあるのです。」(早川氏 談)

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APIエコノミー界のエバンジェリスト!?

APIエコノミー界の
エバンジェリスト!?

「私のミッションは、お客様の思い描くシステムに対して、数あるソフトウェアの中から最適なものを選び、機能的にそしてコスト的にそのソフトウェア内のどのコンポーネントを活用すればいいかを見定め、全体をデザインすることです。主に金融業界を担当しており、既存の大きくて古いシステムと、モバイルユーザーに対応したシステムとをつなぐことを専門にしています。

この3,4年、日本国内でもモバイルユーザーが増加したことで、金融業界を始めとしてのデジタルシフトは急務となっています。例えば、モバイルユーザーは、スマートフォンアプリを使ってみて、使い勝手が悪いと判断すると、直ぐにアプリを消そうとします。ブランド毀損にもなり得る事態です。
よって、モバイルユーザーに対しては、「半年かけて自前で開発・改修」といった従来のスピード感だと間に合いません。
そのため、“餅は餅屋”の発想で、スマートフォンアプリ開発はスタートアップに任せ、使って欲しいサービスは企業から規約を定めたAPIとして差し出すように急速にシフトしてきました。
私は現在、FinTechの話題化もあって、ほぼ毎週のように顧客である主要金融機関に赴き、デジタルシフトの必要性及びAPIの可能性をご提案しています。」(早川氏 談)

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『もはや"銀行"は必ずしも必要ない。人々が欲しいのは金融サービス』

『もはや”銀行”は必ずしも必要ない。
人々が欲しいのは金融サービス』
HEATHER COX CMO for Global Consumer Banking, Citi

「日本のFinTechは今年本格化していますが、米シティバンクは2014年、世界の有数都市でハッカソンイベント『Citi Mobile Challenge』を既に開催しています。その積極的な姿勢を支える思想は“もはや人々は銀行を必要としてない。一緒に新しい金融サービスをつくっていきましょう”というものです。
ハッカソンイベントでは、シティバンクが送金サービスのAPIを提供し、結果的に『割り勘』アプリなど次世代のFinTechソリューションの種が創出されました。
このイベントの影響力は大きく、その後の、“金融業界はAPIを積極的に公開・提供しないといけない”という危機感の醸成につながりました。

日本でもメガバンクがFinTechハッカソンを開始するなどAPI公開への動きが起きつつあります。」(早川氏 談)

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API活用の成否を分けるものとは?

API利活用の成否を分けるものとは?

「変化への対応スピードです。先日、IBMが協賛したハッカソンイベントで、エンジニアでもない40,50代の男性と若手エンジニアの混成チームがファイナリストに残っているのを垣間見て、年齢ではないと確信しました。
IBMも『Bluemix』というクラウド・プラットフォームを提供しており、そこでは130を超える様々なツールが整っている状態です。よって、ITと縁遠い職種の方がチャレンジすれば、面白いものをつくれるチャンスは幾らでもあります。ユーザーエクスペリエンスの重要性を唱える前に、デジタルでつくれるエクスペリエンスを自ら体験することが今求められているように感じます。
米国のCEOたちは、考えついたアイデアを他社よりも早く形にするため社内エンジニアへ依頼せず、自身でつくり自身で体験するそうです。1からプログラミングするのは大変なので、部品を組み合わせて開発するクラウドの利用は、変化への対応スピードを維持する彼らにとって賢明な手段かもしれません。

この変化への対応の根底にあるものは、『ホスピタリティ』だと思います。ホスピタリティとは、ユーザーは何を求めているのか、このサービスはユーザーを喜ばせるか、をとことん慮れることと言い換えられるかもしれません。このホスピタリティに年齢は無関係です。いくら歳を重ねてもホスピタリティ溢れる人はいます。逆に言えば、ホスピタリティのない企業は、APIを利用したまったく新しい魅力的なビジネスを思いつくことができないと思います。」(早川氏 談)

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MINIKURAのAPIへの評価

MINIKURAのAPIへの評価は?

「100点満点に換算すれば、ずばり90点。

2013年という国内ではかなり早い時期から、APIを提供可能にした先進性は素晴らしいと思います。また、状況に応じてサービスフローを入れ替えできるよう、APIをなるべく細かく切り分けた“バラバラAPI”という着想も秀でています。

その一方、マニュアル主導のシステム管理と伺いましたが、その場合コストが嵩んでしまうのでお薦めできません。今後も多くの提携を前提にする場合、管理の仕組みにテクノロジーの力を使って、(例えば、外部のAPI管理ツールのIBM API Connectなど)自動化をうまく組み入れるのが良いかと思います。」(早川氏 談)

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【APIがいかに米国の倉庫会社のテクノロジー化を推進しているかを知りたい方は】

ロジスティクス革命を推し進める、米国LogiTech企業群

FinTechが世間を賑わす中、これから大きく社会へのインパクトをもたらすロジスティックス・テクノロジー、通称「LogiTech」の可能性も見逃してはならない。今回は、Google Venturesやセコイヤキャピタルなど、目利き力の高いベンチャーキャピタルも注目するスタートアップやUberが2015年10月に公開した物流APIの可能性を理解すべく、米国のLogiTech事情及び企業群をご紹介したい。 記事を見る
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【企業のAPI利活用に詳しい早川氏より評価いただいたMINIKURAの実態を数字で知りたい方は】

MINIKURAの数字物語 サービスロウンチまでの5つのキーナンバー

1,400万アイテム、3か月+3か月、200API、∞ が持つ意味とは何でしょう。本稿では、MINIKURA APIを通じた新サービスの開始までに、経営者や開発エンジニアが気にするであろう多岐にわたることを5つの数字で説明する。その数字が物語るMINIKURAの実力や実績を知っていただきたい。 記事を見る
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