物流ITのプロが教える、倉庫会社の選び方(ECベンチャー編)

成功しているECビジネスがあれば、その要因は10通りあるだろう。ECビジネスはその多層性がゆえに、そこでしか買えない商品力、いつもつい見てしまうUI、ファン心理を突く秀逸なCRMなど、差別化優位性を発揮する場所は数多ある。ただし、デジタルデバイス上の体験では大きな差はつかず、早く届けてくれる、在庫が豊富でいつも安心など、リアルな世界で感じる体験価値に魅了されることが多いのではないだろうか。その仮説のもと、陸運の雄・西濃運輸の、IT特化企業・セイノー情報サービスの鳥居代表に、EC起業家の倉庫会社の選び方や物流の新しいIT活用法について訊ねた。

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倉庫会社がECにできること

倉庫会社がECにできること

「EC物流は、ECサイトからのオーダーに対し、保管されている商品を、梱包して指定の納品先に配送する流れになります。商品自体が競争力と言い切れるものであれば良いですが、多くの商品は類似品が別のサイトでも販売されています。EC事業者はユーザーと一番近い物流でどのようなサービス価値を提供出来るかを考える必要があります。例えば、“倉庫内で管理している状況をサイト公開し商品の状態がすごくいいことをアピールする”、“倉庫内でラッピングメニュー(流通加工業務)を充実させる”、“決済メニューを充実させる”そういう一手間というのが、実は昔と違って重要になってきています。

ECは、非常に多層的な小売りをIT化させている訳ですが、今までの物流という言葉や概念では考えられなかったようなサービス価値、言わば商品以外に何をアピールするかを考えて形にすることで競争力が生まれると思います。そのサービスの作業の手間を考えると自社で実施するより物流現場で一括に出来た方が効率的なのは明確です。だから、物流現場にやってほしいことは、多分いっぱいあると思います。」(鳥居氏 談)

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倉庫会社のどこを見るべきか

倉庫会社のどこを見るべきか

「今お話したことがピンとこない会社が多いのが倉庫業界の実状です。その理由の1つに、作業がメニュー化されていないという現実があります。その結果、EC事業者ではユーザーに差別化される必要なサービスメニューが物流では余分な作業=イレギュラー作業=手間とされてしまいます。現場はなぜ余分な作業をやらなきゃいけないのかという気持ちになり、疲弊していくようになります。

“今いる人のできる仕事を取ってくる”から、“従業員に仕事をつける”という発想へ変える必要があります。この発想の転換ができている倉庫会社は、あるサービスがここでかかる原価以上の利益を生み出せるだけの「価値」があるか無いかを知っているか、もしくは知ろうとしています。ただ、それだけなのです。例えば、クレープではイチゴを追加したり、アイスを追加したり、一つ一つのトッピングに値段がついています。値段がついていると、ユーザーは本当に欲しいトッピングを真剣に選びます。
その感覚はすごく大事で、EC事業者のサービス一つ一つが全部自分のところのサービスメニューだと思ってくれる倉庫会社を選択することが重要だと思います。」(鳥居氏 談)

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物流はECベンチャーを味方する時代に

物流はECベンチャーを味方する時代に

「今は本来のサプライチェーン管理の時期だと思います。サプライチェーンの一番の目的は、物流にとっての一番の命題であり、且つ物流業者が嫌がる在庫適正・在庫削減です。欠品をなくして在庫を減らし、最終的に商売をやめるときに、在庫が残っていないというのが理想です。
かつては、個体管理が不十分だったため、現場は大雑把な判断しかできず、色やサイズ展開が多岐に渡るアパレル企業からの評判が良くありませんでした。今では、色違い、サイズ違いなど細かい個体管理が可能になり、シーズン中の見込み製造ではなく売れた商品を必要数量のみ発注する本来の在庫管理が出来るようになりました。更にスマホを含めたデジタルデバイスの普及によって、離れた場所でもリアルタイムにモノの管理状況または在庫が把握できるようになり、より精度が高い個体管理が可能になりました。
EC事業者が悩まれる一つの業務は在庫管理だと思います。個体在庫管理を実施したい事業者からすると、弊社の個体在庫管理サービスは、クラウドサービスで安価に提供可能なこともあり、スモールスタートし易いと思います。

出荷可能率を高めた状態で今お話しした在庫の最適化を実現し、作業を定量化することで“ダンピング”ではなく“作業量の削減”というのが、去年、今年、来年あたりが業界の一番のテーマで、我々が一所懸命攻めているところでもあります。

それに加えて、EC的な発想ですが、大規模の個別対応も今のトレンドです。生産工場は大規模の個別対応を苦手としていて、少量の個別対応しかできません。実は、物流現場の方が、意外と大量規模の特注品の対応が可能です。倉庫会社はECベンチャーの知恵を活かしながら、それを流通倉庫のメニューとして考えれば、意外と面白いことができるんじゃないかと思っています。いや、必ずできます。」(鳥居氏 談)

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MINIKURAの可能性 そして 物流の未来とは

MINIKURAの可能性 そして 物流の未来とは

「MINIKURAが面白いのは、“あったらいいね。でも、面倒くさいね”という、でも、プロだったらやらないことをやっているところだと思います。それは、適正な価格で、かつ払う側からすると払ってもいい価格でやっている点も含めてです。
物流は、文字のごとくモノが動いてお金をもらうという我々の概念があって、MINIKURAのようにモノをより長く預けてお金をもらうという概念がありませんでした。しかも、キャンプ用品の預かりだとか、そういうコロンブスの卵みたいなものを集めています。

物流のプロがオペレーション・ルールを作るとき、If/Thenで様々なパターンを場合分けして備えますが、何のことはない、お客さんが望んでいるその他Elseを集めて円グラフを描くと、実はElseの合計が上位3番目か4番目になっている、ということはビジネスの現場ではよくあることです。

これからはどういったテクノロジーが物流を変えていくかというと、やはりロボットだと思います。自律型のベルトコンベアーや補助用のスーツもありますが、ポケモンGOに代表されるARも大いに可能性があります。ARを使えば自分にスキルはないけれども、ここで見ているものの異常に気付くことができるように、素人だけれどもプロ並みもしくは無人でできるよというようなものがどんどん増えてくると思っています。」(鳥居氏 談)

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【生活者目線を汲み入れた物流でデリバリーサービスを始めた起業家の話はこちら】

アウトドア用品のシェアリングエコノミーを目指した資本提携

年率5%で成長しているアウトドア市場において、ITを駆使した風雲児が存在する。キャンプ場やキャンプ用品などを紹介する情報サイト『hinata』を運営するvivit社だ。キャンプ場の前時代的なサイトに目をつけ、キャンプ情報を知りたい人に適切に届ける情報流通を進めてきた。そして、次なる事業展開として、キャンプ用品を預かり、全国のキャンプ場に届ける『hinata trunk!』を、出資企業である寺田倉庫と開始した。今回は、『hinata trunk!』を通じてシェアリングエコノミーの実現を構想するvivitの水谷代表と、出資を決め二人三脚を始めたMINIKURA執行役員・月森氏に、提携の経緯や狙いを訊ねた。 記事を見る
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【米国の先端的な物流について知りたい方はこちら】

ロジスティクス革命を推し進める、米国LogiTech企業群

FinTechが世間を賑わす中、これから大きく社会へのインパクトをもたらすロジスティックス・テクノロジー、通称「LogiTech」の可能性も見逃してはならない。今回は、Google Venturesやセコイヤキャピタルなど、目利き力の高いベンチャーキャピタルも注目するスタートアップやUberが2015年10月に公開した物流APIの可能性を理解すべく、米国のLogiTech事情及び企業群をご紹介したい。 記事を見る
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LogiTech開発区へようこそ!

『LogiTech開発区』は、寺田倉庫のMINIKURAグループが運営するコミュニティです。
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