アプリ『SumallyPocket』完成までにプロジェクトリーダーたちが気をつけたこと

異分野同士のコラボレーションほど優れたプロダクトを生み出す。ただし、その途上で多くの議論が重ねられるのは開発の常だ。会員約60万人を誇る人気SNS『Sumally』を運営するオンラインサービスの雄・サマリーと、倉庫業65年の寺田倉庫が、スマートフォンアプリ『SumallyPocket』を共同開発した時、双方のプロジェクトリーダーたち(サマリー:日下部康介氏、MINIKURA:今成真之介氏)が何に悩み、どう解決してきたかを紐解く。

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『SumallyPocket』の両チームの開発プロセス

『SumallyPocket』の両チームの開発プロセス

「『SumallyPocket』は2015年6月から開発を始め、9月にローンチしました。サマリー側は私が窓口になり、社内のエンジニアやデザイナーなど4人とチームを編成し、スモールスタートを実現できる体制でした。」(日下部氏 談)

「『SumallyPocket』はMINIKURAとして肝入りのプロジェクトであったため、APIの開発や仕様の検討など、クラウド完結の収納サービス『minikura.com』のプロダクト責任者及び開発リーダー、ブリッジSE、倉庫運用責任者という最大の編成の6名で当たりました。」(今成氏 談)

「我々の開発チームのレベルは、『Sumally』を短期間で作り上げてきたこともあって高い水準にあると思っています。とは言え、物をお預かりするサービスの開発は未体験で、物を新しい切り口で知ってもらうオンラインベースが主だったので、MINIKURAチームとは開発のアプローチのちがいはありました。
オンラインベースの我々の場合、“小さく試して、うまくいったら広げていこう”という発想です。一方、MINIKURAの場合、“倉庫のシステムを考慮してきちんと動くか、セキュリティは堅牢か”を重視している印象でした。異分野同士の共同開発だったので今でも必要なプロセスだったと思っていますが、開発途上では何度も議論を重ねました。」(日下部氏 談)

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開発時のボトルネックは?

開発時のボトルネックは?

「決済や集荷などのAPIの仕様の擦り合わせに時間が掛かり、ローンチが1週間ほど遅れることになりました。具体的には、ユーザーが受け取るクレジットカードの明細にどちらの会社の名前が載るのか、集荷のタイミングをもっと早められないか等です。
ユーザー目線で考えるサービスクオリティと、今まで積み重ねてきた倉庫・保管・集荷のノウハウの擦り合わせ部分とも言えます。結果的には、ローンチ前に実装すべき仕様とそうでないものを大別し、最低限のものだけをローンチに間に合わせるようにしました。」(日下部氏 談)

「開発は通常、機能ごとに3つのステップに分けて進みます。1.サービス仕様固め、2. 使用APIの選定、3.テストです。SumallyPocket 開発の初期フェーズに関しては、minikura.comの基本機能をアプリ化するといった内容が主だったので3ステップに準じて進めました。
しかし、既存の3ステップでは、サマリーとminikura.comの強みをうまく引き出し切れていませんでした。そのため、API開発の“協同性”という利点を生かすため、途中からステップ1のサービス仕様を固める段階でAPIの新規開発の必要性が生じれば、ステップ2でAPIの選定ではなくAPIの新規開発に臨むよう大きく方針転換しました。また、サマリー社が得意のUIを尊重するシステム提供も実装。具体的には、動的IPにも対応できる設定用のAPIや、撮影した写真をSumally仕様に加工するため、事前に入庫完了のプッシュ通知をSumallyサーバーへ送る仕組みなどを独自に構築しました。
双方の強みを生かし切れるかは開発時のボトルネックになりがちなので、今後も既存の手順を前提にしながらも柔軟に対応していくつもりです。」(今成氏 談)

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MINIKURAがminikuraを超えた瞬間

MINIKURAがminikuraを超えた瞬間

「MINIKURA開発チームみんなで驚いたのは、プロフィール登録画面の工夫です。登録フォームでの離脱を防ぐためのこのユニークな工夫を、プロトタイプツール『Prott』を通じてプレゼンテーションしてもらった時、これはMINIKURAチームでは作れないと思いました。」(今成氏 談)

「グロースハックの観点では、プロフィール登録時の離脱率を防ぐのが重要で、アプリのダウンロードから箱購入までのハードルを低くしたいと考えました。これはアプリ『Sumally』での開発・運営時の学びでもありました。

縦に長い登録画面で各項目のフォームをそれぞれ記入していくのは面倒臭いですよね。よって、生年月日や名前を入力してもらうという制約条件が出てきた時に、ユーザーにストレスなく臨んでもらえるよう、ポケットくんというキャラクターをつくり、彼が話しかけてくれるようなUIにしました。

例えば、生年月日を入れていただいた後に星座にかけた話をしたり、名前入力後にフリガナ登録を促すために、“素敵なお名前ですね。フリガナは私が入力しておきましたが、漢字が少し苦手なので、もし間違っていたらそっと直してください”と表示したりと演出を施しました。」(日下部氏 談)

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+15点

+15点

「MINIKURAとの提携を採点すると、開発段階では、100点中75点。
プラットフォームとしてのMINIKURAを考えた場合、仕様をもっとドキュメント化した方がいいかなと感じました。あらゆる提携企業の意向を汲み取るために、柔軟な姿勢を取っていらっしゃると思いますが、“ここはこういう理由で仕様が決まっている”と断定してもらった方が確認の手間が省けて良かったのかもしれません。

一方、ローンチ後は90点です。
ローンチ前には両チームメンバー間で“ラフでもいいから早期に試す”を協同的に進められていないという印象がありましたが、両プロジェクトリーダーが同じKPIを持つように変えたことで改善されました。やはり同じKPIのもとPDCAサイクルを回すと活動全体のスピードが増します。また、そのような環境を整えることもAPI開発に押さえておきたいメリットで、そのメリットを生かすようにリードくださったのも頼もしかったです。
その他、既存のオペレーションに縛られることのない、お客様目線での柔軟な個々の対応に、何度も助けられました。

今後、MINIKURAのAPIをもっと活かせる開発チームを思い描くと、双方でリーダーを設けるのではなく、2社間を横断してたった1人のリーダーを決める“タスクフォース的”なチーム体制がいいのではないかと感じています。お客様の満足度を高めるという唯一の目標がありながら、現体制では双方の事情を擦り合わせることが多いという背景からの夢物語かもしれませんが。」(日下部氏 談)

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対談を終えて・・・MINIKURA今成

対談を終えて・・・MINIKURA今成

「サマリーからドキュメントについてのリクエストがありました。
minikura.comは当初、ローンチ前後、システム開発・保守において、すべてドキュメントを制作しておりましたが、非常にスピードが落ちており、システムの内製化とともに、過度なドキュメント制作を止めました。
ただ、MINIKURAのAPIを活用してくれる会社が増えたからこそ、複数社により効率的にAPIを提供するために、現在目的を明確にし効果が期待できるもの(問合せ人件費の削減、セキュリティレベル向上)は作業再開することにシフトしています。その一環で、APIの仕様ドキュメントのブラッシュアップも既に着手しました。

SumallyPocket次のフェーズは、アパレルに特化したオプションの実装や、コマース機能実装に向けていよいよ始動しますので、乞うご期待ください。」(今成氏 談)

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