アウトドア用品のシェアリングエコノミーを目指した資本提携

年率5%で成長しているアウトドア市場において、ITを駆使した風雲児が存在する。キャンプ場やキャンプ用品などを紹介する情報サイト『hinata』を運営するvivit社だ。キャンプ場の前時代的なサイトに目をつけ、キャンプ情報を知りたい人に適切に届ける情報流通を進めてきた。そして、次なる事業展開として、キャンプ用品を預かり、全国のキャンプ場に届ける『hinata trunk!』を、出資企業である寺田倉庫と開始した。今回は、『hinata trunk!』を通じてシェアリングエコノミーの実現を構想するvivitの水谷代表と、出資を決め二人三脚を始めたMINIKURA執行役員・月森氏に、提携の経緯や狙いを訊ねた。

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hinata trunk!とはどういうサービスか?

hinata trunk!とはどういうサービスか?

「月額980円でキャンプ用品をお預かりするスマートトランクサービスです。容量は、1人暮らし用の冷蔵庫と言えば想像できるかもしれませんが、1人やカップルで行くのであれば充分なキャンプ用品一式を収納可能です。現在、全国100のキャンプ場と提携しており、それらの施設にキャンプ用品をお届けします。よって、ユーザーの皆さんは大変な思いをしてキャンプ用品を運搬する必要はなく、お食事だけお持ちいただければキャンプをお楽しみいただけます。

実際に、『今度、バイクでキャンプへ行くのですが、●●キャンプ場に荷物をお届けいただけますか』という形で、バイクでキャンプへ行く“ツーリング・キャンパー”からもお申込みいただいています。

サービス開発の背景には、キャンプ好きの方の悩みと私自身の実体験がありました。

まず、キャンプ場のオーナーさんたちから、レンタカーでの来場者が増加中と伺いました。大半はFitやデミオなどのコンパクトカーに乗って、グループでの来場になるとのこと。しかし、車のトランクルームはゴルフバック2個分ぐらいしかなく、直ぐにいっぱいになってしまいます。4人分の寝袋やテントを入れるのは非常に困難で、泣く泣く荷物を減らすようなことがあります。

また、スノーボードのレンタルをイメージしていただくと分かり易いのですが、レンタルできるキャンプ用品はデザインが最新でなかったり、使い古されていたりします。写真ウケしない、インスタ映えしないものばかりです。

加えて、キャンプ用品は自宅に置くと場所を取り、一度のキャンプに必要な用品を車へ積み込む時は、何度も運ぶ必要があります。これは毎週末行くぐらいキャンプ好きな私自身が嫌というほど経験しました。私は2階だからまだマシなのですが。

こういった背景から、自分のお気に入りのキャンプ用品を普段預かってもらえて、必要に応じてキャンプ場にお届けできるサービスを考案しました。全てはキャンプ好きな私自身があったらいいなと感じたところからスタートしています。」(水谷氏 談)

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アウトドア用品のシェアリングサービスで勝つ算段

アウトドア用品のシェアリングサービスで勝つ算段

「元々、私自身が人と一緒にアクティビティを楽しむレジャーが好きでした。しかし、社会人になってデジタルツールは普及したものの誘いにくいと感じていました。LINEやFacebookで“週末キャンプ行こう”とはなかなか言いにくく、誘うきっかけが意外とない、と。

そこで、レジャーのきっかけを提供するサービスを始めたいと思って、vivitを立ち上げました。会社の社是は『すべての人の“やってみたい”を実現する』です。


次に、どういう市場で、価値を提供したいのかを考えました。

レジャーと言っても産業は幅広く、旅行もあればアウトドアもあれば音楽フェスもあります。その中でアウトドア市場に決めた理由は、1つはまず私が好きだということ、もう1つは課題が大きそうなところ、の2点です。

課題の大きさに気づいたのは、どこかの地名とキャンプ場の2つの単語でウェブ検索した時です。人気のキャンプ場でさえ、Web2.0の頃のような前時代的なサイトしかなく、IT化が遅れて情報が整備されていません。ですから、まずはメディアを通じて情報整理を図り、アウトドアで初期想起されるサービスになりたいですね。


将来的な狙いは、hinataを楽天のようにすることです。楽天は楽天市場もあれば楽天トラベルもあります。hinataもゆくゆくはポイントがあったり、ユーザーの声を拾って製品をつくれるようなメーカー機能も持ったりして、1つの経済圏を築き上げたいと構想しています。その初手が、情報を知るというメディアです。

現在は、情報サイトの『hinata media』があり、キャンプ用品を量販店に行かずとも買える『hinata item』というECがあり、実際の行き先を決める『hinata spot』というキャンプ場紹介サイトがあり、そして行くときのハードルを下げる『hinata trunk!』というスマートトランクサービスがあります。初心者のキャンパーがアウトドアを楽しむために連続的な価値提供をプラットフォームとして、行なっています。

次なる1手は、コアなキャンパー向けの、シェアリングサービスです。この前お話ししたキャンパーさんは8セットをお持ちだそうです。釣りとかスノーボードも同じだと思いますが、シーンや気分に合わせて使い分けることはよくありますし、丈夫な製品ということもあり大事に保管し続ける方も多いそうです。
また、注目すべきは、そのアイテムを友人に貸す方もいるというキャンパーならではの心理です。私たちはそれを仕組化して、キャンプ用品をシェアリングできるようにしたいと考えます。

実のところ、このキャンプ用品のシェアリングサービスには勝算があります。現在、家や車を貸し借りするシェアリングサービスがありますが、日本人の場合気を遣ってしまって、広がりはまだ十分ではありません。一方、キャンプ用品は非常に頑丈にできており、その商品特性からしてシェアリングサービスとの親和性が高いのです。そして、何よりアウトドアメーカーさんなど業界全体からの賛同を得られていることが追い風です。一時は縮小傾向にあった業界ということもあり、市場全体を盛り上げることにhinataを取り巻く多くのプレイヤーが、シェアリングサービスを毛嫌いすることなく非常に協力的で可能性を感じています。」(水谷氏 談)

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寺田倉庫が出資を決めた理由

寺田倉庫が出資を決めた理由

「スノーピークやロゴス、各キャンプ場などのアウトドア市場のガリバーたちから、『hinata』というサービスも水谷代表も非常に好かれていると直感的に感じました。悩みを解決しアウトドアの実体験を豊かにするメディアを作り、送客を通じて直接的にガリバーたちのビジネスを支えるなど、既存のガリバーたちができていなかったことをITで実現しています。

また、現在はニッチながら今後発展していくであろう可能性も感じました。現在はキャンプが基軸ですが、アクティビティの横展開、もしくは、食や地方創生に関われるのではないかと。

実は、何回も議論を重ねた訳ではありません。なんと初回のお打ち合わせ時に話が盛り上がり、“倉庫内でキャンプ用品を手入れできたらいいのでは”といきなり商品開発のアイデアをブレストしていました。

今振り返ると、なぜあの時にブレスト・モードのスイッチが入ったのか理由は明確ですね。それは、本や洋服と異なり、キャンプ用品には活用してなんぼという汎用性が存在し、僕らが重視している『モノとの関わり方を時代に合わせて変えていきたい』という想いと共鳴した点にあります。

本や洋服の場合、嗜好性が強く万人が使うとなると考えるべきことが多いですが、キャンプ用品は家だとかさばりジャマになるという悩みを抱える一方、嗜好性より実用性、機能性が求められ、遊休資産を共有するシェアリングエコノミーの世界観に通じるものがあります。同時に、hinataとMINIKURAの事業シナジーでそれを実現できるのではないかと思いました。」(月森氏 談)

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MINIKURAと提携した決め手

MINIKURAと提携した決め手

「多角的な事業展開をして、複数の企業に出資していることは以前から存じ上げていたので、お会いするまでは勝手ながら投資家っぽい方と思っていました。“株式とファイナンスをどうお考えですか?”のような質問が来ると構えていたのが本音です。

実際のところは、先ほどご説明があった通り、“クーラーボックスに預けたものを入れて届けるのはどうだろう”と、同じ目線で商品開発を議論させていただけたので、正直なところ衝撃的な出会いでした。“え、初回からこんな話するの?”と良い意味で面食らった部分もあります。

起業家と投資家との初回面談が形から入ることが多い中、二人三脚な目線でお話くださった時点で、私も提携する腹積りでした。すごく柔軟性を感じたというところも好印象でした。

実は、あるVCからもお声掛けいただいたものの、月森さんや柴田さんとhinataを大きくしていきたいと考え、お断りさせていただきました。」(水谷氏 談)

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アウトドア市場をかき乱す!?

アウトドア市場をかき乱す!?

「年内目標は、契約数5,000です。そのために、約50万MAU(MAU:月間アクティブユーザー)の自社メディア(hinata)からの送客や、アウトドアメーカーさんとのhinata trunk!専用ボックスの共同開発や、キャンプ場との共同イベントなどのコラボレーションを実施予定です。

あとは、手入れなどを充実させ、サービス満足度を高めていきたいとも思っています。

また、集客したい地方の観光産業との連携も深めたいと考えています。実際に、国民休暇村の支配人からお問い合わせいただき、現在hinataの仕組みやメディア力を通じて何かできないか現在詰めています。LogiTechを通じて、アウトドア施設や地方との時間的距離を縮め、今までできなかったようなレジャー体験の創造できると確信しています。

実は、現在エンジニアが2名しかおらず、さらなる飛躍のためにエンジニアの力が不可欠と認識しています。仲間探しも今年の目標ですね。」(水谷氏 談)


「アクティビティを軸に新しい価値を生み出し続け、かわいがられる存在から市場をかき乱すような存在に成長していって欲しいと思います。かわいいだけだと、いずれ埋もれてしまうので。

とは言え、私たちが現時点で総花的にサービス開発をすることはできず、特定領域に留まってしまいます。よって、hinataを応援するような企業が出てきて、私たちに足りないパーツを埋めてくれたら嬉しいですね。人々を家から解放し、アウトドア施設へ運ぶという大きなムーブメントを共に盛り上げてくれる方、募集しています。」(月森氏 談)

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【MINIKURA事業責任者・月森氏の狙いをより知りたい場合はこちら】

MINIKURA担当役員・月森氏は語る “変革者に会いたい”

MINIKURAは2012年のサービス開始以来、多くの企業とイノベーションを画策し、結果的に2016年春現在12社との提携・出資に至った。ここでは、事業責任者・月森氏より今までの出会いを振り返り、未来のパートナーシップについて語る。 記事を見る
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【MINIKURAの実態を簡潔に知りたい方はこちら】

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